ローカルハッピネスNo.02 人はつながるとしあわせなのか?

・つながりとしあわせの関係性

・都道府県ネットワーク数としあわせ風土調査

47都道府県別地域しあわせ風土スコア(山梨県〜福井県)



つながりとしあわせの関係性

第2号のテーマは「人はつながるとしあわせなのか?」。人はひとりでは生きられません。地域とのつながり、家族とのつながり、友人とのつながり、色々なつながりに経済的、精神的、社会的に支えられながら生きています。7つの指標で、つながりが疎な人から密な人まで調査対象者15,000人を5〜6グループに分類し、各グループのしあわせ風土スコアを比較してみました。7つのグラフを比較してみると、人口密度や同居家族のような物理的に近くに人がいることがそれほど人のしあわせと関係がないことがわかります。また、同居家族や親友のような近くて深い人間関係よりも、つきあいのある親戚や友人などの幅広い人間関係が人のしあわせに寄与するようです。



人口密度・同居家族としあわせの関係性


物理的に近くに人がいるかどうか、どれだけ近距離に人が住んでいるか、居住地域の人口密度としあわせの関係性を分析してみました。調査対象者を居住市町村の人口密度別に100人未満から5,000人以上までの5段階のグループに分類し、分析しました。人口密度5,000 人以上の地域とは、東京23 区のような大都市圏です。100人未満の地域は中山間・離島などの過疎化が進んだ地域が大半です。人口密度という概念は各市町村の人口を面積でわったものですので、ほとんどが山間部の広大な面積の地域で、人が一部の市街地にだけ住んでいるような場合には、実態以上に人口密度が小さくなるので注意が必要です。


しかし、人が密集して暮らす地域なのか、離れて暮らす地域なのかの参考になる指標です。結果としては、人口密度としあわせ風土にはあまり関係性がみられませんでした。大都市でも、中山間でもしあわせな人はしあわせだし、そうではない人はそうではないのです。同じ住宅に暮す家族の数でも大きな差は見られませんでした。1人暮らしか2人以上と比べると、やや低い傾向がみられますが、必ずしも多人数で暮らすことがしあわせなわけではないようです。




友人としあわせの関係性


友人の数により大きな差が見られました。友人がいないと答えた人と30人以上の人では、500ポイント以上の差があります。都道府県1位と47 位の差が約250ポイントですから、地域差の倍以上です。特に「やってみよう」と「ありがとう」の差が大きいようです。友人が多い人ほど新しいことに挑戦でき、人に感謝の気持ちを持てるようです。また、親友の数(p.03)よりも友人の数がスコアに大きく影響しています。狭く深い関係よりも、幅広い関係が人のしあわせを後押ししているようです。


( 因子別内訳 )


親戚としあわせの関係性


親戚の数はどうでしょうか? 調査では、親戚づきあいを年賀状のやり取り程度以上の関係性と定義しました。1年に1回ぐらいは何らかのコミュニケーションをとる間柄ということです。友人の数ほどではないものの、0人と30人以上の差は約400ポイントとしあわせ風土スコアの差には大きな差が見られました。特に「ありがとう」のスコアの差が大きく、昔ながらの血縁関係は感謝の気持ちを育む大切な機会を生むようです。


( 因子別内訳 )


所属団体としあわせの関係性


味・スポーツ、習い事・勉強、まちづくりやボランティアなどの地域活動、宗教や政治等のグループへの所属としあわせ風土スコアにも関係性がみられました。しかし、友人や親戚の数ほどの差はありません。0と1(所属団体があるかないか)の差が大きく、3〜4団体に所属している人がピークで、5団体以上になるとややスコアが下がります。人はどこかに所属していることがしあわせにつながるものの、所属団体数が多ければ多いほどしあわせというわけではなさそうです。


( 因子別内訳 )



都道府県別ネットワーク数としあわせ風土スコア

創刊号で紹介した都道府県別のしあわせ風土スコアと住民のネットワーク数にはどんな関係があるのでしょうか?横軸に総ネットワーク数(同居家族数、つきあいのある親戚数、友人数を足したもの)、縦軸にしあわせ風土総合スコアをとったものが下の表です。この2つのスコアの相関係数は0.594と相関関係がみられます。住民のネットワーク数が多い都道府県ほど、しあわせ風土スコアが高い傾向です。地域のしあわせ風土スコアを高めるためには、住民のネットワーク数を増やす。すなわち、失われつつある地域コミュニティを活性化する。住民同士の交流の機会や場を増やす。観光振興や移住者誘致により、地域外との交流人口を増やすということが効果を発揮しそうです。