震災復興+design 防災インフラ賞
街の中のハザードマップ
作者 : 柘植 京子 / 柘植 麻衣子
作者からのコメント
いつ起こるかわからない、しかし必ず起こる震災から大切な命を守るため、現在地の安全情報を身近に確認できるシステムが必要と考えました。地域によって特化される重要なハザード情報を、揺れによるダメージが比較的少ない信号等の構造物を利用して表示し、災害による停電時の機能も確保します。どこにいても災害時の的確な判断を可能にするため、自治体ごとに異なるハザードマップの表現の共通化も、今後の課題になると考えます。
講評
本作品は津波の被害を二度と繰り返さないために整備すべき地域インフラ・公共サインとして、被災地の現状を考慮した現実的かつ機能的なデザインである点が高い評価を受けました。以下が審査員のコメントです。
- 避難時に必要な情報を提供するという課題に対して、信号機や街路灯等を活用して、常に情報を「見える化」しておくことで、何かあったときにでも的確で冷静に行動することが可能となる。また、この内容を教えることによって、危機管理意識の啓発にも役立つと考えられる。
- 街中のどこでも目にすることができ、かつ分かりやすいデザインで確実に避難誘導が可能と思われる。また、ユニバーサルデザインとすることで海外にも展開が可能。
- 現標示は浸水地域範囲を知らせるだけで具体的ではないので、「海面から●m」などの標示と避難所の方向を一カ所にまとめて見せるのは合理的なアイデア。「最大浸水深」サインの数字も入れると良い。
- 街区の中に無理なく情報を落とし込むことによって、今回の震災の伝承を後世に伝えることができる。日常生活の風景となることで、震災時の避難経路を普段から個人でイメージすることが可能となる。実現性、継続性、市民のPR効果とも優れた企画です。
- 安全と景観の両立というのは大きな課題。行政にセンスを。
- わかりやすく避難が可能なことと、日常的に震災を意識させるアイデアだと思います。