プロジェクトのまとめ

避難生活のためにデザインができること

避難所運営はどうしても行政、ボランティア頼みになりがちです。行政が生活物資を用意し、ボランティアが配布し、生活の世話をしてくれる。被災者側はそのサービスを受け、依存し、避難生活から脱することができる時を待ちわびる、そんな公助型避難所です。

しかし、避難所で生じる様々な問題を全て行政の力で解決することは不可能です。阪神・淡路大震災では一人ひとりが取り組む「自助」、地域住民同士、企業、ボランティア、専門家、行政など様々な人々が協働して支え合う「共助」の大切さが認識されました。精神的・肉体的負担が大きく、公助に頼りがちな状況でも、人は自立したい、他人と協力したい、そんな気持ちがあるはずです。過去の大震災でも必ず強いリーダーシップと多数の助け合い行動が生まれていることがその事実を物語っています。この自助・共助のこころをデザインはそっと支えてくれるのではないでしょうか。

公助頼みになりがちな避難現場にデザインの持つ美と共感の力が加わることで、水不足、治安の悪化、情報の混乱、医療の空白など、様々な問題を、住民自身が自発的に行動し、必要な決断を自ら下し、互いに協力することで解決できるはずです。

震災のためにデザインは何が可能か(NTT出版)

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