issue+design フェリシモ賞

HU-MAN

作者 : 坂本知世

作者からのコメント

『人力でなんとかする』をコンセプトに、戦隊ヒーローのようなイメージで、一生懸命助けようとしてくれる『HU-MAN』を考えました。おもちゃのようなカラーリング、ふと目にしたときに思わず笑ってしまうようなカタチ、そんな日常にとけ込む威圧感のない耐震グッズを目指しました。タイトルにもHU-MAN “series”とあるように、今後も人のカタチのデザインで様々なグッズ展開ができるのではないかと思います。

講評 (株式会社フェリシモ 代表取締役社長 矢崎和彦氏より)

一次審査の時点では、地震で倒れた家具を枕元で支える「Press-man」というインテリアオブジェのアイデアでした。これに対しては、少々きびしく、以下の講評をいたしました。 「ベッドで寝ている人はだめ、本棚やラックなど転倒面が平らでない家具はだめ、それでも防災用品と言えるでしょうか。かなり無理があるアイデアですが、多くの審査員が気になるところもあり、審査を通過しました。他の方からもいろいろな指摘があると思いますが、指摘される問題点をどうクリアするのか楽しみです。」 デザインには、1.課題の本質を見出す、2.ユニークな解決策を創造する、3.万人の共感を得るよう伝える、という3つのプロセスがありますが、最初のアイデアは、課題の本質を見出さないまま、ユニークなアイデアを出そうとしていたかと思います。 ブラッシュアップされたアイデア「HU-MAN」は、家具の転倒による事故を防ぐ課題の本質を、「事前に知る」「家具を固定する」「揺れを抑える」「横滑りを抑える」「中身の飛散を防ぐ」と見出し、「ライフスタイルに合わせて選択できる」「部屋に置くとちょっと楽しい」ユニークなインテリアオブジェというユニークな解決策を提示されました。 甲乙つけがたいアイデアが多い中で、講評に対し、坂本さんがとても真摯に取り組まれたご苦労がにじみ出ており、短期間でのご成長に感動し、フェリシモ賞に選出いたしました。

矢崎和彦氏のプロフィール

1955年、大阪市生まれ。学習院大学経済学部卒業。神戸大学大学院経営学研究科終了MBA取得。 1978年、株式会社ハイセンス(現株式会社フェリシモ)入社後、1987年、代表取締役社長就任。 神戸商工会議所二号議員、神戸経済同友会代表幹事(2007年4月~2009年3月)、社団法人日本通信販売協会常任理事、神戸市デザインアドバイザリーボード、デザイン都市神戸推進会議チェアマンなども務める。デザインエクセレントカンパニー賞受賞(2004年度)、第30回毎日経済人賞受賞(2010年)。